lucciora’s diary 蛍日記

共感する魂を求めて

イタリアが好きな100の理由  ◆すべての道には名前がある◆

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写真はイタリアで買った絵葉書より。ローマのVia della Pace。

Via=通り、 Pace=平和、平穏のような意味なので平和通り…とか?

イタリアの道には、すべて名前がある。山の中の道などはわからないけれど、都市ではおそらくすべての道に。

 

大学在学中の夏休みにローマの語学学校に行った。どんな条件だったのかよく覚えていないのだけど、イタリア文化会館の語学留学のプログラムで、イタリア語を勉強したい大学生に、語学学校の代金は無料で交通費と滞在費は自分持ちで留学を斡旋してくれるというようなプログラムがあったので応募したところ、(応募者が意外と少なかったのか?)行けることになったと記憶している。…なにしろかれこれ30年前なので、曖昧ではある。

神殿の廃墟や遺跡が好きで、漠然とイタリアに憧れていた。

当時イタリア語はまったくの初心者で、イタリア語講座をテレビやラジオで聞いて、

簡単な自己紹介や「どこどこへ行きたいのですが」くらいしゃべれる状況での出発だった。

語学学校は1カ月コースと2週間コースがあったが、とりあえず2週間学校で語学を学んでそのあとはフィレンツェアッシジ、ヴェネツイア、ボローニャなどを1週間くらいだっただろうか、旅行をした。

 

語学学校はローマのスクールを選んだのだが、まず町中のすべての通りに名前があることに感動し、さらに通りの名前が大理石に刻んであることに驚き、石の文化すごいな、大理石の国なんだと感動したものだった。

通りの名前には歴史上の有名な人物の名前も多く、科学者、芸術家、哲学者、作家、などなど見飽きることが無い。

コペルニクスからボッカチオ、ダンテ、ゲーテ、ダ・ビンチ、ミケランジェロ、カラヴァッジョ、などなど・・・。そして名前の下には生年と没年が記してある。好きな芸術家の名前が続く区画などは自分の中でも何か良い場所のように感じたりした。

 

言葉や文字が好きということもあるのだろう。

名前の由来を知るのも好き。だから日本の地名でも、名前からその場所の歴史を考えたりするのは大好きなのだ。そんなわけですべての道に名前があるのはすごい面白いなあと思った。イタリアの道の名前の場合は、都市の自治体がつけているらしいので、とくに名前とその場所の組み合わせに意味があるわけではないケースがほとんどかもしれない。

にもかかわらず、Via Dante Alighieri(ダンテ・アリギエリ通り) という通りに老舗の本屋さんがあると、ぴったりだなとうれしくもなるし、ふと迷い込んだ場所で見上げた町の一隅の名前が Largo Jorge Louis Borges(ホルヘ・ルイス・ボルヘスの通り道)だった時などは、思わず苦笑いしつつ楽しめたり…

通りに名前があるので、地図さえあれば初めて行った町ですら、たとえ方向音痴であっても、ほぼ問題なく町中を歩けるのもすばらしい。

 

イタリアの町を織りなすすべての通りに名前があることは、何かイタリアらしい感じがする。国民の気質的なものかもしれないが、人間が生き生きしている感じ。沢山の人達の生きた道が、この町を作っていると感じさせるのだ。

それは、町並みからも感じる。たとえばローマなら、あらゆる時代の遺跡がある。古代ローマからビザンチン、中世からルネサンスバロックと…あらゆる時代を生きた人々の息遣いがまだ聞こえてくるような気がするときがある。

そして、それは名前のあるひとたちだけではない、無数の人たちのやり取りや人生が、この町を作ってきたのだと、ふとそんな気持ちを抱かせてくれる石畳の道なのだ。