lucciora’s diary 蛍日記

共感する魂を求めて・・・。 自分の心に響いてきた本、映画、表現など、備忘録的に書き留めています。どうぞよろしく。

◆イタリアン・バロック①「イゾラ・ベッラ」◆ イタリアが好きな100の理由 

 

イタリアが好きな100の理由、ちょっと書けないでいたら、コロナの状況が幾分和らいできて、イタリアでも街に人が戻りつつあるようで良かった。

今日は、イゾラ・ベッラという島のことを少し。

 

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イタリア、ストレーザ、マッジョーレ湖のイゾラ・ベッラ

 

私の中でヴェネツイアとともに「やっぱりイタリアは特別だろう!」と思ってしまう場所が「イゾラ・ベッラ」という島。

 

 

高校時代だったか、友人からすすめられて澁澤龍彦著『ヨーロッパの乳房』を読んだ。

ヨーロッパのバロック的なる場所を旅して書かれた数々の断章から成る本の中に、「イゾラ・ベッラ(isola bella:美しい島)」という、北イタリアとスイスの間のマッジョーレ湖にある小さな島についての章があった。それを読んで、いつか絶対行きたいと思った。本の中の白黒写真で見たその部屋の風景の中に、いつか自分も立ちたいと思った。

そして大学時代、ローマの語学学校に短期留学した時に、その旅の中で訪れたのだった。

 

もともと海や湖が好きなので島も勿論大好きなのだが、この島はバロックの島…

庭園には白いクジャクが放たれ、世界中から集めたエキゾチックな植物が島のあちこちに植えられていて、地下の洞窟部屋や何世紀も前の本が並ぶ図書館もある、まさに幻想の島なのである。

 

期待と不安?とともに洞窟の部屋にたどり着き、目にした空間は「こ、これはなんなんだ?」と、思わず笑いがこみあげてくるような、「いくらなんでもやりすぎでしょ…」と思わずつぶやいてしまうくらい溢れんばかりの、過剰な、驚異の部屋だった!

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でもそこは、不思議な生命力にあふれていて、私にとっては気持ちの良い場所でいつまでも飽きることもなく眺めていた。

窓の外には湖の水面が夏のまばゆい光を反射して輝いていた。

 

この島をボロメオ家の当主が1630年に買い取り、庭園を作り上げるのに40年かかったという話。イタリアの貴族文化というか美へのこだわりというか、やっぱりスケールが違いすぎて思わず笑ってしまう。

このような日常から逸脱したひとつの島を、何百年も前に「実際に」作ってしまい、(多くの人間にとって、それはファンタジーでしかないと思うのだが、)それを今に至るまで維持している・・。そして今でも、夏になるとボロメオ家の人たちは利用していると、当時書かれていた。今もそうなのかわからないけれど、芸術的なものや美しいものに対する敬意や愛は見習いたいものだ…。

貝殻や螺旋、ガラス、大理石、そして庭園、中庭・・・。それらは私をいつも魅了する。自分をワクワクさせる「視覚的」「質的」要素について…今更ながら考えたりもする。

 

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以下、澁澤龍彦さんの『ヨーロッパの乳房』から少し引用してみよう。

  

“このボロメオ宮殿には、フランドルの壁織物のある長廊下、タブローのある部屋、音楽室、図書室、大階段、賞稗(メダイユ)のある部屋など、美術的にも見るべき部屋が多くあったが、なかでも私がいちばんおもしろいと思ったのは、六つの洞窟(グロッタ)風の部屋であった。

砕いた大理石の破片や砂利や金属で、モザイク風に周囲の壁や床を固め、貝殻の装飾を各所にあいらい、海の底の雰囲気を再現しようとしている。湖水の側の窓はアーケードのように大きく割りぬかれていて、涼しい風がそのまま入り込んでくるようにしてある。これらの部屋はおそらく宮殿の最も低い場所、水面すれすれの場所にいちしているのであろう、ひんやりとした底冷えの感じがする。たぶん、夏の暑さを避けるための部屋であろう。

この六つの洞窟風の部屋には、インドの彫像や支那の人形、地質学や古生物の標本、古い骨壺や盃や装身具や武具、それに馬具のコレクションなどがそろっていて、優に民族博物館に匹敵する豊富さであった。”

渋沢龍彦『ヨーロッパの乳房』より)

 

そして今回書きつつ、イタリアン・バロックが好きだったんだ、ということを思い出したので、次は他のイタリアン・バロック的なものについても書いてみようと思ったのでした。ではまた…。