手紙を書くのが好きです。
手紙をもらうのも、大好きです。
最近あまり、もらわないから淋しいですけど…自分もあまり書いていないんだから仕方ないですね。
電子メールだって、もらえば勿論うれしいけれど、
家の郵便受けに、ちょっと厚みのある封筒のざらっとした手触りだったり、
海外からのエアメール便を見ると、思わず軽くスキップしてしまいます。
封筒の手触りって、どうしてあんなに素敵なのかな。
このふくろの中に自分へのメッセージが折り畳まれて入っている。
たくさんの文字が、私だけに向かって、ひそかに話しかけてくる。
そのことが嬉しいのです。
だから私も、手紙を書くのは楽しみです。
万年筆に青いインクを充填して、コーヒーでも飲みながら、相手のことをつらつらと考えながら、幸せな時間を過ごします。
切手も相手のイメージに合わせて、特別なものを選んだりして。
ポストが赤いのは、手紙を入れるイメージとして、本当にピッタリだと思います。
あの朱色というか赤というかの、ぼってりした、どっしりした鉄のボディが、温かく見えるのです。
そして赤いポストに投函するとき、
はなれた場所にいる相手のことを思い出し、手紙をうけとる姿をちょっと思い浮かべてみる。
手紙っていうのは、すごく人間らしいものだと思います。
〒 〒 〒 〒 〒 〒 〒
あなたへの手紙 /寺山修司
あて名のない手紙を書いたことがあります
それを郵便ポストに入れずに楡(にれ)の木の穴にいれたことがあります
まだ逢ったことのない女の子への手紙でした
愛の手紙でした
ところが その手紙に返事がきたのです
お手紙ありがとう
愛の手紙に 愛の手紙で
お返事できるのがとてもしあわせです
この返事も
ほんとはぼくが自分で書いたものです
僕が今より若く まだ人生の苦渋を知らなかったころ
空はいつも真青だった