lucciora’s diary 蛍日記

共感する魂を求めて

星野道夫さんのことば

 

星野道夫さんの言葉。

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きっと、同じ春が、すべての者に同じ喜びを与えることはないのだろう。

なぜなら、よろこびの大きさとは、それぞれが越した冬にかかっているからだ。

冬をしっかり越さないかぎり、春をしっかり感じることはできないからだ。それは、

幸福と不幸のあり方にどこか似ている。

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結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。

そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、

過ごしてしまった、かけがえのないその時間である。

 

頬を撫でる極北の風の感触、

夏のツンドラの甘い匂い、白夜の淡い光、

見過ごしそうな小さなワスレナグサのたたずまい・・・・・

ふと立ちどまり、少し気持ちを込めて、

五感の記憶の中に、そんな風景を残してゆきたい。

何も生み出すことのない、ただ流れてゆく時を、大切にしたい。

あわただしい、人間の日々の営みと並行して、

もうひとつの時間が流れていることを、

いつも心のどこかで感じていたい。

(Michio's Norethern Dreams オーロラの彼方へ より)

オーロラの彼方へ―Michio’s Northern Dreams〈1〉 (Michio’s Northern Dreams 1)

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ほんとうに求めているものはなんなのだろう。

気が付けば、もうずっと考えているのに、

わかったような気がしては、また戻ってきている。

螺旋階段のように、少しずつ近づいているなら良いけれど…

 

そう、このあわただしい日々の営みのなかで、

感じなくてもよい(多分)孤独を感じたり、

…それなりにちゃんとやっているはずだけど。

さあ、どうなんだろう。

漠然としたさみしさが、たちのぼってくる。

それも自分のなかでは、自然なんだけれども…。

 

星野道夫さんの言葉は、そんな夜の一服の薬だ。

そう、こんな人が生きていたんだ。

なかなか現実には、出会えないけれど。

そう、でも、そんな優しいひとにも、

ちょっと思い起こせば、出会ったことがあるかもしれない。

 

空には満天の星、

風は甘い香りをふくみ、

木々の葉が揺れる音、

海の波の静かにうちよせる音が聞こえてくる。

自分が宇宙の生命のなかに包まれていることを

思い出させてくれるから。