人生のほんとう/池田晶子著 備忘録 3
引き続き・・・人生のほんとう/池田晶子著 より
p150
ヘラクレイトスの断片を、もう一つ紹介しておきます。
この人は魂についての言葉をずいぶん残していて、それは非常にうまいなと思います。
ピュタゴラスよりも、私は面白く感じます。
「生きているあいだも死んだ後も、目覚めている時も眠っている時も、
また若かろうと老いていようと、同じひとつのものがわれわれのうちに宿っている。
なぜならこのものが転じて彼のものとなり、
逆に彼のものが転じてそれとなるからである。」
これなんか「胡蝶の夢」と同じような論理性をもっていますね。
「自分」のひっくり返り方です。魂にとっては生きても死んでも同じだよ、と。
★★★
彼岸と此岸。
こちら側から、向こう側へ。
向こう側から、こちら側へ。
流れている。
いつかその流れから、ふっと抜けでることはあるのだろうか…
★★★
・・・この哲学では神はまず「流れる」実体として、とらえられている。
この流れるものとしての神は、いたるところを貫いて流れる。
それはまた、「創造的」な産出を行う実体でもある。
創造は流れの休止点で起こる。
つまり月も星も風も、木々も動物もすべてが、
休止という仮の形態をとった、別種の流れに他ならないのである。
世界に現象しているものはすべて、神である偉大な「流れる」実体の、
休止の表現に他ならないからである。
★★★★